小世界樹|解釈#2
五千年間、立ち続けた。
変わったことは何も無い。”変化”などは人間の戯言だ。
彼らが進歩と呼ぶものは認識を作り直しているに過ぎず、改革と呼ぶものは集団的に認識を共有したに過ぎん。
人間は人間の中のみで完結している。範囲が狭すぎるのだ。
小さな体で小さな世界を動けば、小さなものも大きく見えよう。
一種族とはその程度の存在なのだ。
多種族と生きるサバンナの小動物の方が、見るべき世界は広かろう。
ーーー光が見える。全ての世界を照らす唯一の光だ。
嗚呼、私は、生かされている。
死ぬに死ねないこの体。外界に委ね、立つ。
私は生きられない。生かされることしかできない。
世界は見てきた。実に広い。この世界は、実に、広い。
人間の世界も、人間から見れば広いのだろうか。