溶けかけの飴|歌詠み#3
腐っても腐ってもなお味が出る それは腐りと言えるのだろか
横ならび「月がきれい」とポツリ出る 今のは文字通りの意味だから
そこの木さん あなた千年生きたくて生きたの?
「レトロ」の箔をおしたとき それは「さびれ」の隠れ蓑
カルピスと傷とゲームとランドセル 酒と泪と男と女
「わたしと小鳥とすずと」 あと一つ足してたあの頃
走る走るどこまでも走る俺たちはいったいどこへ走っているのか
溶けかけのべたべた飴がついた指 すぐ洗う人 舐める人
三匹のウサギを飼ってたあの小屋に今は見知らぬウサギ一匹
水層の中からジッと僕を見る 気になるだけか恨んでいるのか
直径30センチの鉢 広さ3畳の終身刑
十五年会ってなくても分かる顔だけどまったく覚えてない 声