近似トレバ虚構

実験的創出Blog

天然物であり人工物である”人間”|出力#5

 

人間とは生命現象である。

雄と雌それぞれの生殖細胞接触により、生物学的に発現した存在。初期段階の性行為を除けば、受精、細胞分裂、臓器生成、胎内生命維持、出産と、人間の発生は限りなく自然的であり(本能的行為とすれば性行為すら自然的と言えなくもない)、ゆえに人間は天然物と見なせる(※)。

 

人間は人為的成長をする。

人間乳児は他人の手を借りなければ生きられない。周りに助けを求めるべく発する甲高い泣き声はその象徴である。他人の手を借りる時点で、その乳児の成長の主権は育児者に委ねられる。

間は生後ある程度の段階で自立できる能力を有する。しかし、人間社会は子ども一人では生き抜くことが困難になるように作られている。それゆえに、自立能力を有するにも関わらず、幼い人間は”子ども”という枠組みに収められ、成長の主権を外部に剥奪されたまま過ごすこととなる。一般的人間が拠点を置く”社会的共同体”が人為的である以上、その成長過程において人の手を除くことは極めて困難である。これらのことから、人間は人工物であると見なせる。

 

 

 

※人間の唯一の天然要素である出産までの過程は、現代科学において人工的に可能とされているが、倫理により制限されている。

 

 

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