近似トレバ虚構

実験的創出Blog

2021-01-01から1年間の記事一覧

メダルゲーム|夢判断#4

とあるショッピングモールの衣服エリア。その一角に、8畳ほどの広さのゲームコーナーがあった。今は見なくなったデータカードダス機を始め、子どもがボタンを必死に連打する様を披露する昔ながらのメダルゲームもある。 そこに私もいたのであるが、目線が少…

洞穴の底で|夢判断#3

気が付くと、私は暴走するトラックに乗っていた。 車内をぐらぐらと揺らしながら、斜面を下るように森の中を駆けている。 車には運転席に私一人。いや、もう一人いたような気もするが、一人でいる感覚であった。私は確かに運転席にいたのだが、アクセルはお…

無視力障害|出力#6

知らないふりをする。言い換えれば、無視する、視なかったことにする。 ありきたりであたりまえの行為と思われる。 しかし、全人類を見渡せば、ある1つの行為を行えない者がきっといる。 ”無視”することができない者も。 空き缶が落ちている。そう、落ちて…

赤眼|夢判断#2

私は駅のホームにいた。 その駅は日常的に利用している見慣れたものであったが、明らかに異質な状況に立たされていた。化け物がいるのである。 全身を黒に染めており、形状は蜘蛛のような、龍のような、定まらない様相である。とりわけ私を感情的にさせたの…

作用・反作用の法則|投影#2

力には作用・反作用の関係がある。 ある対象に力を与えた場合、その対象からもまた同じ大きさでかつ同一作用線状にある反対方向の力を受けるという物理的法則である。 力に限らず、この法則はあらゆる現象に適用できるのではないかと私は考える。 例えば、経…

暴力夢|夢判断#1

玄関に人が立っている。地面にまで垂れ下がった長い白髪に、ベタな白装束。『リング』の貞子を連想させるそれが、私の家の玄関にいる。 現実であるはずがない。これは夢だ。 人は夢を夢と認識できたとき、あらゆる制約から解放されるはずである。なぜなら夢…

天然物であり人工物である”人間”|出力#5

人間とは生命現象である。 雄と雌それぞれの生殖細胞の接触により、生物学的に発現した存在。初期段階の性行為を除けば、受精、細胞分裂、臓器生成、胎内生命維持、出産と、人間の発生は限りなく自然的であり(本能的行為とすれば性行為すら自然的と言えなく…

憧憬と原罪|現像#5

ずっと鳥になりたいと想っていた。 鳥のように気ままに空に浮かべられたら、どんなに楽だろうか。 鳥の気も知らず、鳥になりたいと想っていた。 弱肉強食、食物連鎖の知見を得て、少しは鳥の目を持てるようになった。 鳥への憧れは潰えなかった。しかし鳥も…

五年前の晩夏|現像#4

五年前、私は海辺で夏の終わりを感じていたはずだった。"晩夏"を感じていたはずであったのだ。 近場の海へ行き、その夜に友人らと花火を楽しんだ。晩夏を感じたのはその片付けの最中であったと思われる。 私は今、「晩夏」を主題として語られているため、特…

統制部|出力#4

ある星の統制部における電報記録。 (この星の支配層は"1"である) 〈"5"ガ窃盗ヲ行ッタモヨウ〉 《窃盗は下劣な行為故、誠に遺憾である。犯罪者に禁錮一時間の刑を実行せよ。》 〈"2"ガ"7"ノ世帯ヘ詐欺ノ手口ニヨリ多額ヲ奪ッタモヨウ〉 《詐欺行為は非常に卑…

一般人|投影#1

”一般人立入禁止” ”一般人”とは何者か。 従業員以外。参加者以外。研究者以外。会員以外。選手以外。 学校関係者以外。政府関係者以外。 信者以外。親族以外。友人以外。 どこにも属さない私は、数少ない”純粋な一般人”。 一般人ではない。

物体が動いている|解釈#3

物体が動いている。 "明るくなってきたな" 物体が動いている。 "あぁ、なんてことだ。今日は不吉な日だ" 物体が動いている。 "間もなく 列車が 参ります" 物体が動いている。 "パンッ! パンッ!" 物体が動いている。 "これを眺めていると、落ち着くんだ" 物…

退屈の本質|出力#3

退屈。 このいかにも社会に対する自発的反抗の意を呈する熟語は、自己の劣性の発露である。 "屈"し、"退"く。 いずれの行為も自発的と呼べるものではなく、外圧に敗れた受動的結果そのものである。退屈の感情を抱くならば、すなわち敗北の自覚を発生させるべ…

目|現像#3

目。 目。 眼。 -。 目。 目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目。

内蔵|出力#2

滾る。 血液の動脈を感じる。血液の熱を感じる。血液の蒸発を感じる。指先を眺めると震える。血の震えだ。命の振動だ。 浮動。 胎動を感じる。遥か深淵の記憶。遺伝子とGenom。神秘的な羊水。煌めく。肉に包まれる生肉。 増殖。 脳の形成を感じる。手足の伸…

502号室、バッタ。|現像#2

朝起きると、バッタがいた。 ベッドの足元、埃被った床に張り付く緑の棒。 折り紙で作られたように角ばった関節、外骨格。 茶のフローリングに留まるそれは、異彩を放っている。 私は人並みはずれた違和感を感じている。強烈な違和感を感じている。 ここは50…

小世界樹|解釈#2

五千年間、立ち続けた。 変わったことは何も無い。”変化”などは人間の戯言だ。 彼らが進歩と呼ぶものは認識を作り直しているに過ぎず、改革と呼ぶものは集団的に認識を共有したに過ぎん。 人間は人間の中のみで完結している。範囲が狭すぎるのだ。 小さな体…

”赤”|現像#1

奇妙な光だった。 辺りを藻のごとく、べたべたと塗りたくるように緑を照らす。 その照明は狂気的な発光をしていた。直視すると目が焼ける。 ふと自分の前に立つ男から生える影を見る。ーーー赤い。 確かに彼の陰の足元は赤く染まっていた。付近にいる人々の…

行為を抱える|解釈#1

”せめてこのままにしてくれないか” 暗いヤツなら暗いヤツのままでいい。 それ以外の意味を持つことは望まない。 行為が溢れる。衝動的な行為が。影響的な行為が。非道徳な行為にして。 恐ろしい、それは簡単に成せてしまう。無より明らかに。 それなのに抱え…

矛盾としての支配|出力#1

”支配”。 文明が生んだこの大いなる矛盾の概念は、歴史において、今において、負の感情を生産する。 そしてこの先も生産を続けていく。 支配は不可能である。 大国を統治した支配者は、自我に支配された帰結でしかない。 宇宙を支配した時、その自我は己を包…